果てなき渇望〜ボディビルに取り憑かれた人々〜【増田晶文】

読書

大会等に出場して、多少ボディビルをかじっている私としては、自分も多少は持っている筋肉に対する「果てなき渇望」について、同じように、または更に強い「果てなき渇望」を持っている人たちを知ることで私も安心したいという気持ちから本書を手に取りました。
しかし、「果てなき渇望」について記述してあるところは思ったよりも少なく、ボディビルの内容を長々と説明する記述が多く、私が求めている内容が少なかったです。

第一章は、日本を代表するナチュラルボディビルダーの矢野義弘氏の話。

第二章は、日本を代表する女子ボディビルダー達の話。

第三章は、アナボリックステロイドを使用しているボディビルダーの話。

第四章は、マスターズのボディビルダーの話。

私が知りたい「果てなき渇望」について詳細に書いてあったのは第三章だけでしょうか。

もっと矢野さんの「渇望」について知りたかったし、女性ビルダーの「渇望」はこんなものではないような気がします。第四章については、往年の名選手の紹介、健康とボディビルという「果なき渇望」とは関係のない精神論的な内容になっていました。

あとがきを読んでも筆者は「果なき渇望」を伝えないのではなく、ボディビルというもの、ボディビルダーというものについて書きたいのだと思いました。そうかこれはボディビルの本だったのか、「果てなき渇望」についての本ではなかったのかと最後に気付きました。

しかし、第三章は読み応えがあります。

やはりボディビルダーとステロイドは切っても切れない関係です。命を削ってでも筋肉を手に入れたいという安倍さん(仮名)には、勇気をもらいましたし、これこそがボディビルダーだと思います。「果てなき渇望」とはなんなのか、命を削ってでも筋肉を大きくすることを選択してしまうボディビルの魅力をひしひしと感じることができます。
本書の内容はアンチステロイドなので、ステロイドには大変な副作用がある、ステロイドは原爆である。なんて記述がありますが、私個人としては、ステロイドを使ってこそ本物のボディビルだと思います。より筋肉を大きくする方法があるならば、命を削ってでもその方法を使用する。
「果てなき渇望」から筋肉のために命を削ることこそが私の知りたい内容でした。「果てなき渇望」を知って、安心したかというと全くそうとは言えませんが。
自己責任という言葉がこれほど当てはまる行為もあまりないような気がします。

「誰が見てもステロイドを使っているように見えなければボディビルダーとしては恥である」

この言葉、痺れました。

ボディビルのために仕事や家族を犠牲にする。
「果てなき渇望」とはその程度のものではないような気がします。
ボディビルとはいかなるものなのか知りたいかたにはオススメの本です。

ボディビルダー、トレーニーの方は第三章だけでも読んでみることをオススメします。